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パリのファッション回顧展が面白い!

PROFILE

須山佳子
須山佳子 ファッション&ビューティーコンサルタント 2001年よりパリ在住。ファッションブランドのマネージャーを経て、日本のビューティーブランドを欧州市場へ紹介し、ブランディング及びビジネスデベロップメント行う「Dessigns」を設立。貝印の「KOBAKO」や「uka」など数ブランドを取り扱う。取引先は高級デパートのボンマルシェ、コレット、フォートナム&メイソン、ホテルリッツなど。同時にMarie Claire Styleのパリ特派員としてジャーナリスト活動を行い、WWD Beautyにてパリ通信も連載中。パリ・マレ地区で日本の美容ブランドを集めたポップアップストア「Bijo;」主宰。

マルジェラ、アライア、それぞれの世界観

今パリでは面白いファッションの回顧展が2つ同時に開催されています。

一つ目は、ガリエラ宮パリ市立モード美術館で開催されているベルギーデザイナー、マルタン・マルジェラの回顧展「Margiela Galliera 1989/2009(マルジェラ ガリエラ 1989/2009)」(〜2018年7月15日)。1989年の衝撃的なデビューから、常に前衛的かつコンセプチュアルな手法で服作りとショーを行ってきたマルジェラ。今回、フランス初となる回顧展ではなんと引退したマルジェラご本人がアートディレクションを手がけ、彼の世界観と美学を彼の目線で表現しているところが画期的なのです。

展示は、年代ごとに約130シルエットの作品と貴重なショーの映像が映し出されます。当時、マルジェラのショー会場の選び方は独特で、たとえば駐車場や倉庫、使用されていない地下鉄の駅など。またモデルも素人を使うなど、現在では一般的になった様々な手法も、実はマルジェラが最初に行っていたことがわかります。

古着を解体&再構築した「アーティザナル」、すべての服を2倍の大きさにした「オーバーサイズ」など、その後もブランドのアイコンとして発表し続けたコレクションから、マルジェラの代名詞となるタビブーツ、エイズTシャツ(売上の一部をチャリティー団体に寄付)など、流行に流されない独自の法則と、服への様々な挑戦を続けた歴史を知ることができます。

また、展示の所々には写真家・都築響一の「着倒れ方丈記(HAPPY VICTIMS)」(ブランドの収集家が狭い部屋で集めた服に囲まれて生活する実態を捉えた写真集)にインスパイアされたインスタレーションもあり面白いのです。

自身の顔を公表せず、インタビューも受けなかったというマルジェラ。彼の残したファッションへの疑問、そしてその哲学と美学を考えさられながら、奥深いクリエイションの旅に陶酔できる圧巻の展覧会です。


もう一つは、2017年11月にこの世を去ったデザイナー、アズディン・アライアの回顧展 アズディン・アライア「私はクチュリエ」(Azzedine Alaïa “Je suis Couturier”)です。マレ地区の彼の自宅兼アトリエで2018年6月10日まで開催されています。

アライアといえば、クチュール仕立ての完璧なシルエットと、女性の体に沿ったボディーコンシャスなスタイルを打ち出したデザイナーとして有名ですね(80年代のボディコンの流行はアライアから来たのです!)。その技術は服を造形する彫刻家のようで、余計な装飾を削ぎ落とし、体に寸分の差もなくフィットする手法はまさに“第二の肌を作る”と言われていました。

また、シーズンごとにトレンドを打ち出し続ける一過性の服作りを止め、大量生産ではなく独自の方法でクリエイションを続けたデザイナーでもありました。アライアの過去の服を見ても、一切色褪せることがなく、本質的な物づくりをしてきたことが伺えます。

この2人の前衛的な作品たちを通して、彼らのファッションへの挑戦と一貫した哲学を感じ取ることができます。同時に、大量消費時代の終焉を予感させる要素も浮き彫りになり、ファッションと現代社会について深く考えさせてくれるのです。

Margiela Galliera 1989/2009
開催期間2018年3月3日〜7月15日
開催場所 ガリエラ宮パリ私立モード美術館
10 avenue Pierre Ier de Serbie 75116 Paris

Azzudine Alaïa “Je suis Couturier”
開催期間 2018年1月22日〜6月10日
開催場所 ギャラリー・アライア
18 Rue de la Verrerie 75004 Paris

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